「すごいですね」は褒め言葉ではありません

「人の上に立つ者は部下を褒めて育てろ」と言われます。人の前向きな気持ちを引きだすためには、叱ってやらせるよりも褒めて自分から進んでやらせるようにすべきだということです。人が誰かを褒めるときには心から感心していうこともありますが、仕事の上で誰かを持ち上げるときには何がしかの「意図」があることが少なくありません。上司から褒められれば部下はうれしく感じるものですが、上司は100%本心から言っているケースはそれほど多くはないものです。

逆に上司が部下に「課長、すごいですね」と言われたときはどうでしょうか? 実は、部下も心から褒めているわけではないケースが少なくありません。

上司が部下に褒められるのは異常なできごとです

一般的には、ビジネスの中では目上のものが目下のものを褒めるものです。家庭においては、親が子供を褒めることは多くても、子どもが親に対して褒めることはそれほど多くはありません。ビジネスにおいても同じことが言えます。特に階層社会である会社においては、下の者が上の者に対して褒め言葉を使うのは、「お世辞」であるケースが多いものです。「課長はさすがです」と部下に言われれば嬉しいものですが、必ずしも本音とは言えません。

本心から「課長はスゴイ!」と思っているケースもありますが、お世辞であるケースの方が確率的には多いもの。言った人の日常の行動・言動から、お世辞か本心かはある程度判断できますが、褒められたからと有頂天になるのは上司として大人気ないと言えるでしょう。

本心からの言葉であるケースも、お世辞であるケースも、どちらも上司に一目置いていることは確かです。お世辞は取り入ることでメリットがある場合にしか使いませんので、少なくともそういう相手であると認識はされているからです。

上司をほめるのは野心家が多い

一般的にビジネスの世界では、上の者が下の者を褒めます。ですので、部下が上司を褒めるということは、部下にとっては心理的には上司が下にあるということです。上昇志向が強く野心家であるために、「今は上司」である人が、いずれは自分より「下」になると確信している心理があるために、上司を持ち上げることができてしまえるわけです。

「スゴイ」の言葉の裏には、いずれは自分もこの人と同じくらいにスゴくなる、いつかはこの人よりも偉くなれる、という自信や願望があるために、上司を立てることができます。ある意味では見下しているわけですが、こういうタイプはきっかけしだいでグングン伸びる素質があるので、敵にしないで、大きな仕事を任せたり、リーダーシップを発揮させると、とても良い仕事をしたりします。上手に使えば自分の右腕になる人材ですので、大切にしたほうがよいでしょう。

部下から褒められたときには、必ずしも単純に喜んではいけません。部下にも思惑があっての言葉であるケースが多いです。野心家の部下は使えますので、そうした人材を見分けるひとつの方法とも言えるでしょう。


PAGETOP